赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
嘘でしょ⁉ 全然気づかなかった……!
ってことは、会話の内容全部聞こえてた⁉
うわぁぁぁ、あんな小っ恥ずかしいことも丸聞こえだったなんて……。
「じゃあ、沢村先輩との会話も……?」
「……ごめん。でもバレてないから大丈夫だよ」
そっちも聞いてたんだ……。
潤くん、いくら私が心配だからって、盗み聞きしすぎじゃない⁉ まぁ、バレてないなら良かったけどさ。
「沢村先輩はまだちょっと信用できないけど、新淵さんは安全そうだったな。4人で話すのも悪くないかも」
「ちょっ、潤くん⁉」
「是非ともデレデレな顔を見てみたいなぁ。せっかくなら千冬も呼んで5人で雑談会するのもいいかも」
「あの⁉ 無視しないでいただけます⁉」
「あぁごめん、何か言った?」
ようやく反応したかと思えば、「何か言った?」だって……⁉
絶対聞こえてたよね⁉ 話全部聞いてて、今更誤魔化すつもり⁉
「あ、着いちゃった。じゃあ俺はこのへんで」
「あ! ちょっと!」
別れ道に着くやいなや、タチ悪吸血鬼くんは自転車に乗って逃走。
「明日覚えてろよー!」と言わんばかりに、彼の背中を睨みつけたのだった。