赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
校舎から孤立して図書館みたいになっているので、地元の学校では1番本が多い図書室と言われているらしい。
2階建てだから、あちこちに勉強スペースがあって、1階にはソファーも置いてあるんだ。
階段を下りて校舎を抜けると、小さな窓がたくさん並ぶレンガの建物が見えた。
あれが我が校の図書室だ。
「おっ、あったあった」
新刊コーナーへ向かうやいなや、早速お目当ての本を見つけた千冬。
その手には、「化学」「実験」と書かれた本が2冊。
文系の私に全く縁のない本を選ぶとは。
趣味で薬やサプリを作っているだけある。
GW中もずっと実験してたっけ。
また新しいのでも作るのかな?
ざっと見渡してみたけれど、残念ながら、お目当ての本は貸し出し中とのこと。
むむむ、一足遅かった。
仕方ない。せっかく来たんだし、他の本を読むとするか。
新刊コーナーから1冊手に取り、2階の窓際の席へ。千冬の隣に腰を下ろす。
「お目当ての本はあった?」
「ううん。貸し出し中だって」