赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
紙の端を右手で掴んだ。破れないようにゆっくり引き寄せる。
少し汚れてしまったけど、なんとか保護することに成功し、胸を撫で下ろした。
「風花ー! 大丈夫ー⁉」
「うん! 大丈夫ー!」
下から呼びかけてきた柚季ちゃんに返事をして着地。
柚季ちゃんだけかと思ったら、なぜか千冬も来ていた。どうやら助けを呼びに行っていたみたい。
「なにやってんだよ。いくら大事な物だからって危ないだろ。ただでさえ顔色悪いのに」
「うっ……すみませんでした」
「潤の気持ちも考えて」と、千冬から真顔でお叱りを受け、反省。
……そうだよね。呼びに行ってたのが潤くんだったら血相変えてたよね。
無事だったから良かったものの、もし落ちてたら…………千冬が厳しく叱るのも当然だ。
授業開始まで既に5分を切っていたのもあり、私達は猛ダッシュで教室へ。
着席すると同時にチャイムが鳴り、ギリギリ間に合った。
しかし──。
「えっ……? なにこれ……⁉」