赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
5時間目の授業後、鏡に映った顔を見て声を漏らした。
頬と額に突然現れた、赤細い線。
なんかヒリヒリするなと思って確認したら、まさか出血していたなんて。
さっき葉っぱの中を突き進んだからかな。
「風花、その顔……」
「どうしよう……」
異変に気づいた柚季ちゃんに助けを求める。
また千冬に叱られてしまうのも避けたいけど、それより、潤くんにどう説明するか。
さっきの千冬、ものすごく怖い顔してたから、もう潤くんに伝えてるかもしれない。
それだけならまだしも、ケガしてたなんて知られたら……。
「今度こそお説教されちゃう……」
夏休みの時は正直に話して、なんとか許してもらえたけれど……今回はそう簡単にはいかないと思う。
「まぁまぁ、そう落ち込まないで。とりあえずこれで隠しときな」
「うん……ありがとう」
絆創膏をもらい、額と頬に貼りつける。
寝不足で疲れていたからだろうか──慰める柚季ちゃんの口元が少しニヤついているように見えた。