赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


「ごめんね。クラス会議があって遅れちゃった」

「そうだったの? いいよいいよ〜」



体感的に30分くらい眠った気がしたけど、時計を見たら15分しか経ってなかったようだ。



「起きたばかりで悪いけど……その顔、どうしたの?」



ぐーっと伸びをして眠気を覚ましていると、ハッと気づく。

そうだった。話があるって言われてたんだった。



「あー……実はね、昼休みにちょっと事件があって……」



お説教される前に、昼休みに起きた出来事と、顔をケガした理由を包み隠さず話した。

たった1枚の紙のために、なぜ危険を犯してまで木に登ったのか。その経緯も1から説明した。



「それで切っちゃったのか。顔以外はケガはしてない?」

「うん。どこも痛くないよ。ちょっと切っただけだから」

「そっか……大ケガしてなくて良かったよ」


「…………」

「…………」


「……怒ってる?」

「……少しだけ」
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