赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
人間、吸血鬼、狼族、猫族。そして先生達。
約1年半かけてみんなから血をもらったけれど、体が受けつけられず……。
そのまま卒業して高校生になったという。
「吸血鬼は五感が鋭いから、単に合う人がいなかっただけって思ってた。けど、ようやく原因がわかったんだ」
「何だったの?」
すると、潤くんはスマホを取り出して画面を見せてきた。
画面には、「じゅんくんへ」と書かれた、ひらがなだらけの手紙が映っている。
「これ……私の手紙⁉」
「そう。その中の、ここ」
指を差した部分を拡大して読む。
「『じゅんくんはいつも、わたしたちのケガをなおしてくれたよね。まほうつかいみたいだった』」
読み上げると、先ほど回想したシーンの続きがよみがえってきた。
あの時、紙で指を切っちゃって、潤くんが舐めて治してくれたんだった。
私以外にも、千冬達のケガもペロッと舐めて治してたなぁ。
本当に魔法使いみたいで、私達だけの秘密にしてたっけ。