赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―

約束の薄月

†††



あれから3週間が経ち、文化祭の日がやってきた。

現在、他のクラスの教室にて、喫茶店の店番をしている。



「雨村さーん、コーヒーお願いしまーす」

「はーい!」



素早く紙コップにコーヒーを注ぎ、ウェイター役のクラスメイトに渡す。


時刻は、午前11時20分を回るところ。

お昼時が近づいてきたためか、昼食を片手に訪れるお客さんが多く、ホールも裏方も目が回るくらい大忙し。


交代まであと10分。

あと少し、あと少しだ。頑張れ私……。





「あぁ〜~っ、胃に染みるねぇ〜」

「そうだね〜。食道もポカポカだよ〜」



店番終了後。

柚季ちゃんと一緒に野菜スープを購入し、空き教室で体を温める。

今日みたいに曇り空で日射しがなく、ちょっぴり肌寒い日にはピッタリだ。



「これ飲んだら夜城くんのとこ行く?」

「っ……!」

「ふはっ、動揺しすぎ。まだ気にしてるの?」

「だって……」
< 212 / 316 >

この作品をシェア

pagetop