赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


「で……この文がどうかしたの?」

「……吸血鬼は、覚醒前に他人の血を体内に入れてしまうと、その人の血しか受け入れられなくなってしまうんだ」



どうやら吸血鬼には治癒能力があり、吸血の痕が残らない上、傷を治すこともできるという。

いつもケガを治してくれたということは……。



「それって……何度もケガを治しているうちに、私達だけの血しか飲めなくなっちゃったってこと⁉」

「うん。家族に相談して病院で検査をしたら、予想通り、他の人の血は全然ダメだった。それで、千冬と風花が通ってる学校に転校したんだ」



話によると、潤くんのような症状に陥る吸血鬼はまれにいるらしい。


生活に大きく影響するため、気をつけるよう病院からも厳しく言われているそうなのだけれど……。

潤くんは、種類別にクラスが分かれる小学5年生になるまで、自分が吸血鬼だとは知らなかった。


ご両親いわく、『小さい頃に知ると、好奇心で飲んでしまうかもしれないと思ったから』とのこと。
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