赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


「はーい、待ってます。今からこっちに来るそうです」

「すみません、ありがとうございます」



ペコッと頭を下げて、他のお客さん達の邪魔にならないよう、校舎の壁際に移動して待つ。



「そうそう、さっき新淵のデート現場に遭遇したんですよ。久しぶりに彼女に会えたので盛り上がってたら、『俺も話に入れろよ』ってやきもち妬かれちゃいました」

「あらら〜。新淵さんも可愛いところあるんですね」

「はははっ。顔に出さないだけで溺愛してますからね」



相談会の後、お菓子好きの彼女のために、1から作り上げるお菓子パーティーを開いたそう。

誕生日ケーキも一緒に作って食べたんだって。


『喜んでくれたよ。ありがとう』って、前にバッタリ会った時に感謝されたなぁ。



「……雨村さん」

「はい?」



のほほんと回想していると、先輩が突然顔をまじまじと覗き込んできた。

えっ、なっ、何? 急にどうしたの?
っていうか、なんで近づいてきてるの……⁉
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