赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
にこやかな顔から放たれた最後の言葉が、頭の中で響いた。
人間と吸血鬼の性質が違うのは当たり前のこと。
なのに……いつもよりトゲを感じた。
「行こう風花」
「あっ、うんっ」
戦略家で頭が切れる先輩のことだ。きっと嫉妬させるためにわざと強く言ったのかもしれない。
ニマニマと口角を上げている先輩に見送られながらその場を後にした。
────
──
「大丈夫だった? 何もされてない?」
「うん。久しぶりですねって話してただけだから」
今朝も来た校舎裏で、壁を背もたれに腰を下ろした。
文化祭で賑わう中、ここはいつもと変わらず静かでホッとする。
少し落ち着いたところで、お互いに買った昼食を交換し、仲良く平らげることに。
「ん〜! 美味しい! このロールケーキ食べたいなって思ってたの! ありがとう!」
「どういたしまして。俺もチョコパン買い損ねたから食べたかったんだよ。ありがとう」