赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
ロールケーキよりも甘い笑顔を向けられて、先ほどまで抱いていた恐怖心が綺麗サッパリ消え去った。
自分が作ったわけじゃないけれど、喜んでくれて嬉しい。買って良かった。
「あのさ、何度もしつこいけど、沢村先輩には本当に気をつけて」
昼食を平らげた後、潤くんが真剣な眼差しで念押ししてきた。
真っ直ぐ私を見つめるその瞳。いつもに増して不安の色か濃く見える。
「検査はしないみたいだけどさ……その代わりに、怪しい薬やサプリを飲まされたらどうしようと思って……」
一瞬ドクンと心臓が嫌な音を立てた。
……いや、サプリを飲んでるのは雑談会で話したから、わざわざ飲ませることはないと思う。併用したら副作用が出るかもしれないし。
治療内容に入っているなら、最初から説明しているはずだ。
「大丈夫だよ! 病気じゃなくて恐怖症だし! 多分そういうのはないよ!」
「そう……?」
「うん! もし何かあったら相談するから! ね?」