赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
顔に出したら余計心配されるから。
不安がどんどん大きくなっていくから。
見え見えの作り笑いだとしても、安心させるためには無理矢理笑うしかない。
「わかった。じゃあ、雑談会が再開したら、必ず俺も呼んでね」
「もちろん」
「あと、できるだけ単独行動は控えて、千冬か柚季ちゃんって子と一緒にいてね」
「わかった」
「それと、沢村先輩と2人きりにならないよう気をつけてね」
潤くん……いくら怖い思いをしたからって、ちょっと過保護な気がするよ。
だいぶ慣れてきたとはいえ、目標はまだ達成していないので、完治したと断言はできない。
けど、超エリートな沢村先輩のことだから、問題になるような行動は起こさないと思うけどな。
「聞いてる?」
「き、聞いてるよ! 気をつけるから!」
顔を覗き込まれ、またも心臓が音を立てた。
沢村先輩と同じ表情なのに、こんなにも感じ方が違うなんて。
それだけ潤くんのことが好きってことなのだろうけど……それ以上に信頼しているからなのかな。