赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「じゃあ、私が眠っている間は千冬の血を飲んでたの?」
「うん。でも風花のほうが好みだったんだよね」
「えええ⁉」
嘘でしょ⁉ 3年連続Fマイナスの私の血が⁉ 好みだって⁉
Cランクの千冬のほうが絶対美味しいと思うのに……。
っていうか、吸血鬼って五感鋭いんだよね? 潤くん、味オンチなの?
今まで合わない血を飲み続けて、そのせいで味覚が麻痺したから、私の血がマシに思えてるだけなんじゃない?
そもそも、千冬には戻ってきていたこと、知らせてたの?
あぁもうっ、聞きたいことがたくさん出てきて混乱してきたぁぁ。
「ってなわけで、雨村 風花さん」
「は、はいっ!」
フルネームで名前を呼んだ潤くんは、あぐらから正座に体勢を立て直し……。
「お願いします、俺の専属になってください」
律儀に深々と頭を下げてきた。