赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


誰かはわかんないけど、課題山盛りで冬休みが潰れないように気をつけてね!

大上先生の授業を受けているギリギリの成績の人に心の中で注意を促して、職員室を後にした。



「お、雨村さん」

「っ……! こんにちは……っ」



すると、職員室から出たタイミングで、向かい側の生徒指導室から沢村先輩が出てきた。



「久しぶり、ってわけでもないですね」

「ですね……。進路の相談してたんですか?」

「はい。面接の練習をしてました。雨村さんは?」

「私は……大上先生にプリントを出しに」



会ってしまったから仕方ないとはいえ、潤くんと約束した後だから気まずい。



「そうでしたか。元気なさそうに見えたので怒られたのかなと」

「違いますよ! 赤点の人には宿題を大量に出すと言われて、頑張らなきゃって思ってただけです」

「なるほど。大上先生、穏やかに見えてけっこう鬼畜ですからね〜」



にこやかに毒を吐いた沢村先輩。

顔に表れていたようで、またも胸の内を見抜かれてしまった。
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