赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―

「あはは、ですよね〜。じゃあお先に失礼します」



作り笑いを浮かべて会釈し、背を向ける。

先輩に対して失礼な態度だっただろうけど、これ以上は平常心を保てない。



「あっ、ちょっと待って」



早歩きで戻っていると、後ろから肩を掴まれた。

うっ、あからさますぎたかな……。

表情を作り直して振り向く。



「いきなりで申し訳ありませんが、期末テストが終わった後って空いてます?

実は、友人から相談したいことがあると連絡が来て、今回も是非雨村さんの力を借りたいと思いまして」


「あぁ……はい。空いてますけど……」



雑談会は、受験と期末テストが終わった12月から再開する予定。

克服のために少しでも経験を積んでおきたいから、ここは承諾したい。

けど……。



「あの、潤くんも一緒でいいですか? 雑談会が再開したら呼んでほしいと言われたんです。私だけよりも、人が多いほうが解決策もすぐ見つかりそうですし……」



潤くんとの約束を守るため、単独行動はできるだけ控えたいところ。

新淵さんの時は急だったから参加できなかったけど、今回は日付に余裕があるので、大丈夫かなと思った。
< 233 / 316 >

この作品をシェア

pagetop