赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


おじいちゃんもおばあちゃんも孫思いで素敵だなぁ。潤くんが優しいのも頷ける。



休憩と雑談を挟みながら、勉強すること1時間半。

勉強を切り上げて図書室を後にし、吸血部屋へ。


満月の日は基本早く下校する人が多いけれど、今日は月食なので、観察しようと残っている生徒がチラホラいた。



「着いたよ。お先にどうぞ」

「ありがとう。失礼しまーす」



3階の端っこ、東側にある複数の小部屋。

ドアには利用中のカードが下げられていて、中に人がいると一目でわかるシステムだ。



「初めて入った〜。けっこう狭いね」

「俺も。学校のトイレと同じくらいみたいだね」



荷物を置いて窓を開け、外の様子を確認する。



「あ! あれじゃない? 三日月っぽくなってるの!」

「おおっ。うっすら輪郭も見えるね」

「ええっ? そう?」



眉間にシワを寄せて目を凝らす。

あー、なんとなく見えたかも。情報によると、薄い部分がだんだん赤くなっていくらしい。
< 238 / 316 >

この作品をシェア

pagetop