赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
おじいちゃんもおばあちゃんも孫思いで素敵だなぁ。潤くんが優しいのも頷ける。
休憩と雑談を挟みながら、勉強すること1時間半。
勉強を切り上げて図書室を後にし、吸血部屋へ。
満月の日は基本早く下校する人が多いけれど、今日は月食なので、観察しようと残っている生徒がチラホラいた。
「着いたよ。お先にどうぞ」
「ありがとう。失礼しまーす」
3階の端っこ、東側にある複数の小部屋。
ドアには利用中のカードが下げられていて、中に人がいると一目でわかるシステムだ。
「初めて入った〜。けっこう狭いね」
「俺も。学校のトイレと同じくらいみたいだね」
荷物を置いて窓を開け、外の様子を確認する。
「あ! あれじゃない? 三日月っぽくなってるの!」
「おおっ。うっすら輪郭も見えるね」
「ええっ? そう?」
眉間にシワを寄せて目を凝らす。
あー、なんとなく見えたかも。情報によると、薄い部分がだんだん赤くなっていくらしい。