赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「まだ色も薄いし、先に済ませていい?」
「っ……うん、もちろん」
食の最大は6時過ぎ。
ゆっくり観察するために先に吸血を行うことに。
彼に背を向けて床に腰を下ろした。
ブレザーを脱いでカーディガンのボタンを外す。
日が沈んだ、薄暗い部屋に2人きり。
夏休みにも同じシチュエーションを経験しているのに、部屋が狭いからか、ドキドキが止まらない。
カーディガンに袖を通したまま、今度はシャツのボタンに手をかける。
顔は見えてないから恥ずかしくない。
と言いたいけど……どんな顔をして後ろで待っているのかなと思うと、それもそれで緊張してきた。
「これで、いい?」
「うん、ありがとう。寒い中ごめんね、すぐ終わらせるから」
キャミソールの紐をギリギリまでずらし、左肩を出した。
肌に吐息と髪の毛が触れて、ドキンと心臓が音を立てると──。
「うっ……」
突っ張った部分と鎖骨の上に牙が食い込んだ。