赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
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「赤くなってきたね〜」

「だね。カメラ持ってきて良かった」



20分後。落ち着きを取り戻し、月食観賞の続きに戻った。

私はスマホのカメラで、潤くんは前回と同じく一眼レフで撮影中。


皆既月食の時も1回撮ったんだけど、ズームすると画質が悪いんだよなぁ。遠くからしか綺麗に写らない。

数枚だけ撮って、あとは目に焼きつけることにした。



「千冬と柚季ちゃんも観てるかなぁ」

「月よりも彼氏さんに夢中なんじゃない?」

「あー、そうかもね」



千冬は家のベランダから。
柚季ちゃんも自分の部屋からだけど、レオさんと通話しながら観るって言ってたっけ。

今頃、お互いに愛のメッセージを呟きまくってたりして。



「綺麗だね。一緒に観れて良かった」

「うん。私も」



目を細めて返答し、月に視線を戻す。


……違うよね。だって、「綺麗だね」としか言ってないもん。感想として口にしただけだよね。

そもそも……潤くんの好きと私の好きは違うんだから。


そう自分に強く言い聞かせながら、月食のピークが過ぎるまで観賞した。
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