赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
一応防寒対策としてタイツを履いてきた。
けれど、ただでさえ沢村先輩との外出に不安を抱いているから、余計心配なんだろう。
待ち合わせ場所も、最初は駅近のコンビニだったのに、結局家の近くにしたんだよね。
潤くんと過ごせる時間が増えたから良かったんだけどさ。
たわいもない話をしていたら、遠くから踏切と電車の音が聞こえてきた。
「じゃあ、このへんで」
「了解。何かあったら、いや、不安を感じたらすぐ電話して」
「うん、ありがとう。いってきます」
近くにいると気づかれる恐れがあるので、潤くんとはここでお別れ。
数十メートル離れた場所から様子をうかがうとのこと。
今日は待ちゆく人達に溶け込めるような格好だから、よっぽど怪しい行動をしない限りは、そう簡単には気づかれないと思う。
おとなしくしてないと、最悪の場合ストーカーって勘違いされちゃうもんね。
数分歩き、駅の中へ。
最後に来たの、ハンバーグ食べに行った時だっけ。ここ、けっこう広いんだよなぁ。
今日は休日なのもあるからか、家族連れや若者など、とにかく人が多い。
これだと見つけるのは大変かも……。