赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
先輩の声に従って人混みの中を歩いていく。
そういえば、潤くんは着いてきているのだろうか。
確認したいけど、通話しながらは難しい。
それにここで立ち止まると他のお客さんにぶつかりそうだしな……。
振り向きたい気持ちを抑えて歩を進める。
「次はどこに行けばいいですか?」
【次は、多分今、百貨店の入口が見えていると思うのですが、中に入っていただけますか? ちょうど僕達も今から入るので】
「はいっ」
この駅は隣接している百貨店と繋がっているらしい。
駅なんて電車に乗る時くらいしか行かないから、百貨店なんて1度も入ったことがない。
ほら、百貨店って10代には高級そうなイメージだし!
地図も複雑だから混乱するんだよね。どこに何があるのか全然わからない。
百貨店に入るお客さん達の後に続いて中へ。
しかし──目の前に広がる光景を見て、思わず目を見開いて立ち止まってしまった。