赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
頬を手を添えて興奮している柚季ちゃん。
恋バナと妄想が大好きな、とても明るい性格のショートヘアの女の子。
高校に入って初めて仲良くなった女の子で、昨夜、授業ノートの写真を送ってくれた友達なんだ。
「今日から血をあげるんだよね?」
「うん。ホームルームが終わった後に早速」
授業ノートを写しながら返答した。
校内には、吸血部屋という個室がいくつかある。
だけど、朝の時間はすぐ埋まってしまうので、人気のない校舎裏に集まることに決まった。
「学校の校舎裏で、硬派な美少年が清楚系美少女に吸血……ヤバッ、想像したら鼻血出てきそう」
「ちょっと! 何考えてるの⁉」
グヘヘと怪しい笑みを漏らした柚季ちゃん。
私が休んでいる間、潤くんは柚季ちゃんにも謝罪しに来たみたいで、1度顔を合わせている。
硬派な美少年はわかるけど、清楚系美少女って。ただ黒髪なだけなのに大袈裟だよ。