赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「……予定変更。本当は2人を仲直りさせたかったのですが……こっちのほうが面白そうかもしれませんね」
「はい……? どういうことですか?」
「ねぇ宗星くん、何の話してるの? 一体何があったの?」
怪しく笑う彼に戸惑う潤くんと翼。
ダメだ、これ以上は本当にダメだ。早く逃げよう。
そう言わんばかりに潤くんの服を引っ張ろうとしたのだけれど……。
「間近で三角関係が見られるかもなぁって」
──プツッ。
ふはははっと笑い声が聞こえた直後、とても近くで何かが切れる音がした。
「ふざけやがって……」
慌てて潤くんの顔を覗き込むと、お腹を抱えて笑う彼を見据えた瞳が、怒りに満ち溢れた色に変色している。
「じゅ、潤く……っ!」
「潤! 落ち着け!」
今にも襲いかかりそうな彼を制止しようとした声は、もう1人の幼なじみの声によって掻き消された。
「ここ駅の中だぞ。しっかりしろ」
「っ……ごめん」