赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


「……予定変更。本当は2人を仲直りさせたかったのですが……こっちのほうが面白そうかもしれませんね」

「はい……? どういうことですか?」

「ねぇ宗星くん、何の話してるの? 一体何があったの?」



怪しく笑う彼に戸惑う潤くんと翼。


ダメだ、これ以上は本当にダメだ。早く逃げよう。

そう言わんばかりに潤くんの服を引っ張ろうとしたのだけれど……。



「間近で三角関係が見られるかもなぁって」



──プツッ。

ふはははっと笑い声が聞こえた直後、とても近くで何かが切れる音がした。



「ふざけやがって……」



慌てて潤くんの顔を覗き込むと、お腹を抱えて笑う彼を見据えた瞳が、怒りに満ち溢れた色に変色している。



「じゅ、潤く……っ!」

「潤! 落ち着け!」



今にも襲いかかりそうな彼を制止しようとした声は、もう1人の幼なじみの声によって掻き消された。



「ここ駅の中だぞ。しっかりしろ」

「っ……ごめん」
< 256 / 316 >

この作品をシェア

pagetop