赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


突然現れた千冬に驚く様子もなく、潤くんは我を取り戻した。


なんで千冬がここに……? 潤くんが教えたの?

それに、千冬も息切れしてるし……。

もしかして、一緒に捜してた……?



「これはこれは……まさか鳥越くんも来るとは思いませんでした」



千冬が来ることは予想してなかったのか、少し驚いている様子の沢村先輩。



「三角関係が見られなくて残念でしたね」

「えぇ、とても残念です。あいにく、四角関係にはあまり興味はないのでね」



挑発で返され、千冬の顔が険しく歪んだ。


その言い方……なんか私達をバカにしてるみたいに聞こえる。

先輩こそ、私達のこと何も知らないくせに、好き放題言わないでよ……!



「……潤、風花を連れて先に帰って。俺は翼を連れてく」

「了解。行こう風花」

「えっ」



潤くんに手を引っ張られて、早足でその場を後に。



「い、いいの?」

「うん。あれだけ騒いだ後でお店回りづらいし。それに、計画が崩れて不機嫌みたいだしな」
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