赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


「なぁ、どうして沢村先輩は、翼と風花の関係を知ってたんだ?」

「実は翼、風花と同じように通院してて。で……その病院が、沢村先輩の親がやってるところだったんだよ」



千冬の口から出た事実に耳を疑った。


翼が、私と同じ病院に通っていた……?


先輩は、確か中学時代からの関係って。

だとすると、翼が中2の時点では既に知り合いだったってことに……。



「あいつも、潤みたいに前兆が来なくて、ずっと不安になっててさ。それで通院してるうちに、先輩と出会って、俺らのことを色々話してたんだって」

「ってことは、最初から知ってたの? 俺らのこと」

「っぽいな。自分と同じ学校に通ってるのを知って近づいたんだと思う」

「マジかよ……手のひらの上で転がされてたってわけか」



悔しそうに唇を噛みしめる潤くん。


今思えば、先輩はいつも穏やかで、慌てず騒がず落ち着いていて、どことなく余裕が漂っていた。

育ってきた環境柄の影響なのかなって思っていたのに……。

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