赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
ほぼ毎日しょうもないことでケンカしては仲直りを繰り返していた私達。
『ねぇ、なんでいつも突っかかってくるの?』
ある日の放課後、ふと疑問に思って聞いてみたら……。
『んー、反応が面白いから?』
『っ……最低っ‼』
笑いながら返答されたのがものすごく鼻について、とうとう彼を引っ叩いてしまった。
あれはかなり酷かった。
千冬がすぐ止めに来たから良かったものの、あと少し遅れてたらケガさせてたところだった。
クラスが分かれる前の小4の頃だったなぁ。懐かしい。
5年生初日の帰り道では……。
『ねぇ、翼のクラスは何人だった?』
『10人。うち、男は3人』
『わぁ、ハーレムじゃん! ヒューヒュー!』
『うるせぇな。肩身が狭いから全然嬉しくねーよ』
険しい顔で口を尖らせた翼。
散々人間の私をからかってきたくせに、『俺も人間が良かった』って。
『残念だったね!』と、嫌味をたっぷり含んで言い返してあげたら、また千冬に叱られたっけ。