赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「そっか……怖がらせてごめん」
「ううん! もう潤くんには恐怖心ないから。安心して!」
笑顔を作り、握られたままの手でもう1度シャツを開けて首を見せる。
「潤くんの命のためにもだけど……潤くんに毎日血をあげて、それで男の人に慣れて恐怖症克服できたらいいなって思ってるの。だから……飲んでください」
昨夜、夜城一家が帰った後、1人で考えた。
この学校はクラス替えがなくて、3年間同じメンバー。
振り返ると、面と向かって会話をしたのは女子だけで、男子とはほとんど会話をしたことがない。あるとしても挨拶くらい。
あと2年間一緒に過ごしていく中で、全く会話をしないというのは少々無理がある。
今は千冬と柚季ちゃんがいるからなんとかやっていけているけれど、卒業後も頼るわけにはいかない。
だから、『自分1人でも面と向かって話せるように成長しないと!』と強く思ったんだ。
「……わかった」