赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
しかし──そんな賑やかな日々も1年生までで、2年生に進級したあたりから、翼の様子がおかしくなっていった。
『おっはよー!』
『おぅ、おはよ』
『……はよ』
登校中に見かけて駆け寄ったら、素っ気なく挨拶を返されたの。
『ごめん、俺先に行く』
一緒に登校したくないのか、拒否するように早足で去っていってしまった。
2年生に上がってから、日に日に態度が悪化して、私と会う度に顔を歪めている。
『前兆……?』
『いや、俺にはいつも通りだから違うと思うけど……』
前兆の影響で1人になりたいのかなと思ったのだけど……話によると、千冬やクラスメイトとは仲良くしているとのこと。
どうやら、冷たいのは私にだけらしい。
最近暴力は振るってないし、暴言も吐いていない。
他に何か癪に障ることをしてしまったのでは……。
心配に思った私は、放課後、もう1度会いにいくことに。
『失礼しまーす。翼いますか……?』