赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
下校時間を告げるチャイムが鳴った瞬間、一目散に翼のクラスへ。
クラスメイトと楽しそうに話している翼に呼びかけたんだけど……。
『……ハァ』
途端に顔をしかめて、面倒臭そうに溜め息をつかれてしまった。
『何か用』
『っ……あの、一緒に帰らない?』
『……千冬は?』
『千冬は……委員会で遅くなるみたいだから……』
冷めきった鋭い目つき。
去年までは同じ目線だったのに、すっかり見上げるくらいにまで伸びていた。
ずっと一緒にいたのに、なんだかいつもの彼じゃないみたいで、ドクドクと心臓が脈を打つ。
『……ごめん、嫌だったよね。じゃあまた……』
『先に校門で待ってろ。だからそんな泣きそうな顔すんな』
去ろうとすると、再び溜め息をつかれ、先に行けと背中を押された。
……やっぱり何かやらかしたのかもしれない。
了承してくれたけれど、不満の文字が顔全面に書いてあったから。