赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
『あ、そうそう、この本潤くんも持ってるんだって。この前来た手紙に書いてあったの』
『ふーん……まだ文通してたんだ』
『うん。……えっ、翼もしてるんじゃないの?』
『いつの話してんだよ。もう年賀状しか出してねーよ。面倒だし』
『えええ⁉』
思わず玄関で大きな声を上げた。
あれだけ難しい漢字を使って、丁寧にルビまで振ってたのに……!
まぁ……中学生になってから私も頻度減ったから、あまり人のことは言えないけども。
毎月1回は送り合っていたのが、年に1回にまで減っちゃったなんて。寂しいだろうなぁ。
『あっ、そうだ! なんで今朝私のこと避けたの? 私と登校するのが嫌だった……?』
去ろうとする翼を引き止めて恐る恐る尋ねてみた。
しかし……。
『ちげーよ。男の相談をしてたからだよ』
『お、男……?』
えっと……男子特有の悩みとか?
異性である女の私には理解できない内容かもしれないけどさ……わざわざ避ける必要あった⁉