赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
相変わらず意地が悪い彼に毎度のごとく言い返し、千冬に止められた。
また一緒に登校できるようになったのは嬉しいんだけれど……今日はいつもに増して機嫌が悪そう。
よく見ると、顔色も悪く、少し呼吸が荒いような。
急に寒くなったから体調を崩しちゃったのかな。
──キーンコーンカーンコーン……。
放課後を告げるチャイムが鳴り、真っ直ぐ図書室へ。
新刊が入った情報を入手した千冬に、一緒に見に行こうぜと誘われたのだ。
『……っこいしょっと!』
『おおっ、どうしたそれ。調べ物でもするの?』
『うん、ちょっとね』
テーブルの上に漢字辞典と国語辞典を置き、単語と漢字をノートに書き写す。
昨日の潤くんからの手紙に、【漢字、間違ってたよ】って書かれてて。顔から火が出るくらい恥ずかしかったから勉強することにしたんだ。
『ふーん、俺と張り合うつもりですか』
『違うよ、潤くんに言われて……って! いつの間にいたの⁉』
『なんだよ、悪いかよ』