赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


日が沈んで寒くなってきたのもあり、さすがに私も心配に思えて、千冬と一緒に捜した。

だけど……。



『いた?』

『ううん、いなかった』



教室にも保健室にも、トイレにもいなかった。

念の為靴箱も見に行ったのだが、スニーカーが置かれていて、まだ学校に残っているらしい。



『もう! どこに行ったの⁉ まさか、荷物ほったらかして帰ったわけじゃないよね⁉』

『さすがにそれはないと思うけど……。もしかしたらこっちに来てるかもしれないし、すれ違ったらいけないから先に校門で待ってて。もう1回捜してくるよ』

『いいよ! 私が捜してくる!』



イライラが限界に達した私は千冬に荷物を預け、再び校舎の中へ。


あれだけ意地悪しといて心配かけるなんて!

殴りはしないけど、一発ガツンと言ってやるんだから!



──この時、千冬の言うことを素直に聞いていれば。

校門でおとなしく待っていれば。


お互いに深い傷を負わずに済んだのに。
< 278 / 316 >

この作品をシェア

pagetop