赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
日が沈んで寒くなってきたのもあり、さすがに私も心配に思えて、千冬と一緒に捜した。
だけど……。
『いた?』
『ううん、いなかった』
教室にも保健室にも、トイレにもいなかった。
念の為靴箱も見に行ったのだが、スニーカーが置かれていて、まだ学校に残っているらしい。
『もう! どこに行ったの⁉ まさか、荷物ほったらかして帰ったわけじゃないよね⁉』
『さすがにそれはないと思うけど……。もしかしたらこっちに来てるかもしれないし、すれ違ったらいけないから先に校門で待ってて。もう1回捜してくるよ』
『いいよ! 私が捜してくる!』
イライラが限界に達した私は千冬に荷物を預け、再び校舎の中へ。
あれだけ意地悪しといて心配かけるなんて!
殴りはしないけど、一発ガツンと言ってやるんだから!
──この時、千冬の言うことを素直に聞いていれば。
校門でおとなしく待っていれば。
お互いに深い傷を負わずに済んだのに。