赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
揺れ動く孤月
「────……か、風花っ!」
名前を呼ぶ声が聞こえて勢いよく起き上がると、制服姿の潤くんと千冬が横に立っていた。
「大丈夫? すごくうなされてたよ?」
「あぁ……うん」
潤くんにタオルをもらい、顔の汗を拭う。
気づけば、背中にも脚にも、全身に汗をかいていた。
冬なのにも関わらず、発熱したんじゃないかってくらい体が火照っている。
……風邪引いたわけじゃないよね?
咳も鼻水も出てないし、フラフラもしてないし。
ってことは、あの夢のせいか……。
「今何時?」
「えっとね、今4時半を過ぎたとこ。学校終わってすぐ来たんだ。な?」
「うん。ノートは柚季ちゃんって子に頼んだから安心していいぞ」
「ありがとう……」
突然のことで柚季ちゃんに連絡してなかったけれど、千冬が伝えてくれていたみたいで胸を撫で下ろした。