赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「寒い中、外に呼び出してごめん」
「いいよ別に。それで話って?」
新学期が始まって約2週間。
昼休みに千冬を中庭に呼び出し、相談に乗ってもらう。
「あのさ、最近風花はどんな感じ?」
「元気だよ。こないだ友達と遊んだって聞いた」
「そう……」
テーブル席に座り、ここ最近の風花の様子を聞き出した。
あの元気いっぱいの柚季ちゃんって子と一緒に焼き芋を作って食べたらしい。
いいなぁ、焼き芋。この時期には恋しくなるよなぁ。
彼女の食欲があると知り、一安心したところで本題へ移る。
「風花の男子恐怖症を治そうって、今まで頑張ってきたけどさ……俺よりも千冬が傍にいたほうがいいんじゃないかって思ったんだよね」
思えば、風花と千冬は10年以上も一緒に過ごしてきた。
対して自分は、幼稚園時代の数年間。
疎遠になってしまった翼よりも少ない。
千冬の陰に隠れていたのも、彼を信頼しているからであり、男子の中でも唯一心を許している存在だからだと思う。