赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
そう決心して伝えたのだが──。
「は……? お前、バカじゃねーの?」
いつもより強い口調で一蹴されてしまった。
「ったく……こんな時にも2人してウジウジしやがって。
あのなぁ、俺のほうがずっと一緒にいるからそう思ったのかもしれないけど、風花には潤じゃなきゃダメなんだよ」
え……? どういうこと?
俺は風花の血じゃないとダメなのはともかく、なんで血を飲まない風花まで……?
「でも……俺は吸血鬼で、2人は人間だろ」
なんて弱気なセリフを吐くと、面倒くさそうな溜め息が聞こえて……。
「そんなの関係ねーよ。抱きしめたのも、慰めるためにしただけで特に何もない。俺と一緒の時と、潤と一緒にいる時とじゃ、表情からして全然違う。
小さい頃からずっと傍にいたから、あいつが誰を想っていたかくらい……わかるよ」
少し切ない顔で言葉を紡いだ千冬。
それって、もしかして……。