赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―

赤い瞳の十六夜月


──キーンコーンカーンコーン……。


5時間目の授業が終わり、凝り固まった体をぐーっと伸ばす。


今日はひたすら板書を写して、もう肩がゴリゴリ。

次の時間は自習だから、先に課題を終わらせてゆっくり休もうっと。



「雨村さん、はい」

「あっ、はいはーい」



前の人から自習課題のプリントが回ってきた。

1枚取って後ろに回そうとした瞬間。



「いっ……!」



指先にピリッと痛みが走った。

確認すると、左の人差し指に赤細い線が浮かび上がっている。


うわ……どうしてこのタイミングで……。
ただでさえ潤くんと気まずいっていうのに……。


ガクッと肩を落とし、絆創膏をもらいに重い腰を上げると、教室のドアがガラガラッと勢いよく開いた。 



「失礼します! 風花いますか⁉」

「あっ、はーい」



誰かと思って見たら千冬だった。

なんかすごく慌ててるけど……どうしたんだろう。
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