赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「どうしたの?」
「話は後。ちょっと来て」
尋ねるやいなや、いきなり手を引っ張ってずんずん歩き出した。
いやいや、後って何! 先に説明してよ!
「ちょっと! いきなりどうしたの?」
「昼休みに潤が倒れた。今保健室で休んでる」
「え……?」
突然何を口にしたかと思えば。
潤くんが、倒れた……?
「なんで……⁉ 血は毎日あげてたよ⁉」
「だよな。飲む量が足りなかったのもあるけど、他にも無理矢理吸血してたから、もしかしたら体が悲鳴を上げたのかも」
「む、無理矢理⁉」
話によると、私が休んでいた間に沢村先輩の血を吸い取ったとのこと。
私と翼のことを傷つけたのが許せなくてやったらしい。
どうりで先月見かけた時、青白い顔してるなぁと思ったら……貧血になるくらい飲まれてたなんて。
振り返ると、ここ最近の潤くんは、ほんの数秒で食事を終わらせていた。
ということは……。
「私のせい……?」
「違うよ」
「っ、でも……!」