赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
手を振り払って一目散に駆け出した。
『──……血が、欲しい……』
図書室で血を求める姿が脳裏に浮かび、心臓がドクドクと不気味な音を立て始める。
沢村先輩の血を吸い取ったのも、飲む量が減ってしまったのも、全部私が原因じゃん……!
私を守ろうとしたせいで、私に気を遣ってしまったせいで……。
ごめんなさい……! ごめんなさい……っ!
「失礼します……っ!」
急いで保健室に向かい、勢いよくドアを開けた。
しかし、先生は留守のようで、室内はしーんと静まり返っていた。
見渡すと、3つ置かれているベッドのうちの奥のベッドがカーテンで仕切られている。
「潤、くん……?」
ぎこちなく名前を呼び、そっとカーテンを開けると。
「っ……」
青白い顔で静かに眠っている彼の姿が目に飛び込んできた。
変わり果てた姿。
寝息は聞こえるけれど、起きる気配は全然なくて。
「ごめんね……本当にごめんね……っ」