赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


こんな時に告白なんて、ましてや勝手にキスするなんて。

不謹慎極まりないどころか、人としてどうなんだって神経を疑う。

だけど、気づいた時には体が動いていて、止められなかった。



「…………俺も、好きだよ」



胸に顔を埋めて泣いていたら、背中と頭を撫でられた。

と同時に、上から少し掠れた声が聞こえてきて、急いで体を離す。



「おはよう風花」

「っ……潤く……」



滲んだ視界に入った優しい笑顔。

眠っていたはずの彼が目を覚ましていて、愛しい眼差しで私を見つめていた。



「ごめんなさい……っ! 私のせいでごめんなさい……っ!」

「風花のせいじゃないよ。俺が無茶したせいだから。泣かないで」



私の顔に手を伸ばして涙を拭う潤くん。

その手がすごく温かくて、また涙が溢れ出す。



「……あれ? ここ、ケガしたの?」

「あっ……」



突然左手をすくわれて声を漏らした。


それ、さっきプリントで切ったところ……。

起きたばかりなのにすぐ気づくなんて……相当飢えてたんだ。
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