赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


目が覚めたばかりなのにも関わらず、血を摂取して元気になったのか、潤くんは体を起こし、私の腰に手を回して抱き寄せた。

そのままベッドに座らされて、向かい合わせに。



「まだ怖い……?」

「……ううん」



漆黒の瞳がゆらゆら揺れて、ゆっくり紅色に変色していく。


あれだけ怖いって直視できなかったのに。

手を握られているからかな。

琥珀色の瞳がチラつくことはなくなって、不思議と安心感で満たされている。



「良かった……」

「うわっ」



安堵したかと思いきや、ガバッと抱きつかれてしまって、目を見開いてフリーズ。



「じゅ、潤く……」

「ごめん、あと1分だけこのままでいい?」

「う、うん……」



……やっぱり、さっきからおかしい。

勝手にキスした自分が言えるものじゃないけど、いつもより積極的というか、甘い気がする。


りょ、両想いになって喜んでるからなのかな……⁉
< 308 / 316 >

この作品をシェア

pagetop