赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
至近距離で見た愛しい眼差しを思い出して、ボンと顔が熱くなる。
あれは聞き間違いじゃない。
私を抱きしめて、好きだよって言ってた。
「あれ? ドキドキしてるの?」
「へ⁉ いや、全然そんなこと……」
「本当? 脈が速くなってるよ」
クスッと笑う声が耳元で聞こえて、さらに体温は急上昇。
もしかして、心臓の音、聞こえちゃってる⁉
うわぁぁぁそうだよね。
これだけ密着してるなら聞こえるよね。ただでさえ耳がいいもんね。恥ずかしい……。
「あの……血は?」
「あ、忘れてた。いただきます」
「わ、ちょっ……ひゃっ」
パッと体を離して指に噛みついた潤くん。
声が漏れて慌てて口を手のひらで塞ぐ。
いけない、ここ保健室だった。
今気づいたけど……カーテンで仕切られたベッドの上に2人きりだ。
静かな空間に私達だけ。
こういうシチュエーションは何度も経験してるのに。
学校だからこんなにドキドキしているの……?