赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
──キーンコーンカーンコーン……。
「あー、鳴っちゃったね」
「そう、だね……」
血を吸われている最中にチャイムが鳴り、残念ながらここで中断。
いや、残念って何。
確かにさっきは名残惜しいなとは感じたけども!
これじゃまるで物足りないって言ってるみたいじゃん……!
もうっ! 潤くんが、もっと欲しくなっちゃったとか言うから! 急に抱きしめてくるから!
私までこんな欲深くなっちゃったじゃない!
「また放課後にいい?」
「……うん」
真っ黒い瞳に戻った彼が顔を覗き込んできた。
どうしてこのタイミングでその技を使うの……。私の心臓の寿命を縮める気⁉
はぁ……両想いになっても、余裕たっぷりなのは変わらないんだなぁ。
内心悔しがりながら、潤くんに手を振って保健室を後にする。
「失礼しまし……うわぁ! ビックリした!」
「おぅ。仲直りはできた?」
「う、うん……」
「そっか。良かったな」