赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
突然現れた千冬。
一瞬驚いたけれど、元は一緒にお見舞いに行く途中だったっけ。
お取り込み中だと思って待ってたのかな。
「潤のこと、頼んだぞ」
「……うん」
最後に「おめでと」と祝ってくれて、嬉しい気持ちになったと同時に、少し胸が切なくなった。
その様子だと、告白も聞かれてたっぽい。
「色々相談に乗ってくれてありがとね」
「なに言ってんだよ。友達なんだから当然だろ」
「……ごめんね」
「謝んなって。2人して俺を惨めな男にするつもりか」
「千冬も大好きだよ。……友達として」
「知ってる。潤のこと死なせたら許さねーからな」
「うん」
ありがとう。
ずっと傍で見守ってくれて、応援してくれて、支えてくれた彼に、もう1度心の中でお礼を呟いた。
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「いきなり変更してごめんね」
「ううん。こっちのほうが話せそうだし。久しぶりにおばさんにも会えたから良かったよ」