赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


優しく笑いかけた後、腰に腕を回して抱き寄せた潤くん。

髪が耳にかかり、後頭部に手が回ると。



「っ……!」



首筋に鋭く尖った牙が食い込んだ。


あぁ……この、皮膚を突き刺す痛みと、血を吸われている感覚。

恐怖と快楽が混じる不思議な感覚……久しぶりだ。


ただ、以前と少しだけ違うのは……。



「潤くん……っ」



名前を呼べば、応えるように背中をポンポン。

包容力にとろけ落ちそうになって、彼の服をギュッと掴んだ。



「ありがとう。大丈夫?」

「うん。なんともないよ」

「そう。良かった」



吸血が終わり、痛みから解放された。

ホッとした様子で頬に手を添えてきた潤くんと視線を絡ませる。


どうしよう、好きすぎて止まらなくなりそう。



「「好きだよ。あっ……」」



同時に愛を伝え合った私達。

お互いに想いが溢れ出ちゃったみたい。


しばらく笑い合った後、もう1度視線を絡ませて、引き寄せられるように唇を重ね合わせた。



END
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