赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
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午後の授業が終了し、現在掃除の時間。

職員室前の廊下をほうきで掃いていると、ドアが開いて先生が出てきた。



「あっ、こんにちは」

「おぉ、雨村さん。こんにちは」



穏やかな声で挨拶を返してくれたのは、眼鏡とグレーの豊かな毛髪が特徴の大上(おおがみ)先生。

理科担当で、今年は物理を教えてもらっている。



「もう退勤するんですか?」

「うん。今日は満月だからね。お先に失礼するよ」



大上先生は、生徒達から「オオカミ先生」と呼ばれていて、あだ名の通り、狼族の仲間。

狼族のみ、満月の日は特別に休暇や早退が認められている。


他の人達からしたら羨ましいと思われがちだが、その代わり、仕事や学校が終わると真っ直ぐ帰宅しないといけない。

覚醒による暴行事件が起きるのを防ぐため、不要の外出が禁止されているのだ。



「あの、私まだノート出してないんですけど、あとで机の上に置いておきますね」

「はい。わかりました」
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