赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「ごめん! 気をつけるね! ……もしかしてやきもち妬いてた?」
「えっ?」
丸1週間、顔が青白くなるくらい毎日血を分けてあげていた千冬。
なのに、結果、自分よりランクが下の血のほうが好みと言われた。それも最低の中の最低の。
いくら幼なじみでも、ショックを受けたかもしれない。
「『自分のほうが健康な血なのになぁ』って思ってるんじゃないかと」
「あぁいや、そうじゃなくて。数年間連絡絶ってたのに、もうそんなに仲良くなったんだなって思っただけ」
「俺のほうが交流多いのに」と寂しそうに笑った。
私は中2で文通が途絶えたけれど、千冬は中3まで続いて、高校生からはメールと電話でやり取りしていたらしい。
「千冬のほうが仲良しじゃん! 転校の話、私だけ知らなかったもん」
「しょうがないでしょ、音信不通だったんだから」
千冬は高校に入ってすぐ、潤くんが吸血鬼だと知った。
だけど、私とは連絡が途絶えてたから、なかなか手紙を出せず。転校の話も、千冬から伝えてもらうよう頼んでいたんだとか。