赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「そうだけど……いくら私が悩んでたからって水くさいよ」
「ごめんって。もうしないから蒸し返すのやめて」
「はーい……」
その時は既に血液Fランク。千冬は私のためを思ってなかなか言い出せなかったという。
優しいなと思ったけど、ちょっと寂しかったよ。
潤くんも吸血鬼だってこと、もっと早く言ってほしかったな。
先に連絡を絶った人間が言えるものじゃないけどね。
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──
帰宅した後、宿題を終わらせ、少し早めに夕食を取った。
急いで準備して、持ち物と身だしなみの最終確認を行う。
選んだ服は、白のTシャツと紺色のレーススカート。
うーん、ちょっと地味だなぁ。ヘアピンでもつけようか。
──ピーンポーン。
鏡の前で試行錯誤していると、インターホンが鳴った。
もう7時⁉ 早っ!
どうしよう、満月に合わせて月のヘアピンでいっか!
「こんばんは~! お待たせしました~」
「こんばんは。なんか汗かいてない? 暑い?」
「ちょっとバタバタしてて……」