赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
少し呆れた様子で背を向けた千冬。
べ、別にイチャついてないってば! 変なこと言わないでよ!
その背中を軽く睨みながら、潤くんに手の甲を差し出す。
「じゃ、早速もらうね」
「どうぞ」
今朝と同じ、チクッとした痛みが手の甲に広がった。
吸血7日目、通算して14回目。
痛みには慣れたけど、まだこのシチュエーションには慣れない。
飲むためとはいえ、手を握られているんだもん。
それもそっと包み込むように。
飲みやすいようにしてるだけなのだろうけど、毎回ドキドキしてしまう。
「ごちそうさま。ありがとう」
「……どういたしまして」
集合時間も迫っているとのことで、潤くんは素早く吸血を済ませた。
急いでたからかな。
最後に、いつもはしないリップ音が聞こえたような。
キスされたのかと思ってまたドキッとしちゃった。
「終わったんなら早く行こ」
「「はーい」」