赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「……そのページ、そんなに楽しい?」
「へっ?」
隣から突然質問を投げかけられ、間抜けな声が出た。
千冬の視線をたどると、手元の本が目次で止まっている。
「あっ……ボーッとしてた」
「また考えてたの? 気持ちはわかるけど、気にし過ぎるのも体に良くねーぞ」
「そうだよね……」
千冬も小学生の頃、なかなか身長が伸びなくてずっと気にしていた。
それがきっかけで、中学生になってから自分で栄養サプリを作り始めた。
単に成長期が遅かっただけで、無事悩みは解消されたのだけれど、作る楽しさに目覚め、今では趣味の1つ。
私が悩んでいるのを知ってからは、少しでも良くなればと、定期的にプレゼントしてくれるんだ。
だからこそ、評価が変わらない現実に罪悪感が募る。
お医者さんは、『他が異常なしだから、そこまで深刻にならなくていい』と言っていた。
ここ数年間特に何もないし、いたって元気。
ではなぜこんなに気にするのかというと──。
「ゆーくん、お腹空いたぁ。ちょっとだけいい?」