赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
月の写真を撮っては確認する潤くん。千冬も空を眺めては、潤くんのカメラを覗いている。
ちょっと! せっかくのレアイベントなのに、みんなよそ見しすぎ!
真面目に観てるのレオさんと私だけじゃん!
「この色、赤銅色って言うらしいよ」
「へぇ。俺の目もこんな感じだった?」
「見てないからわかんない。ってか目瞑ってたし」
月を眺めながら、隣の会話を盗み聞き。
そういえば、潤くんは私の代わりに千冬の血を飲んでたんだよね。
どこから吸血したんだろう?
千冬はそこまで怖がりじゃないから、手の甲じゃなさそうだし。
「そうだったな。注射思い出すから目瞑ってたの? ってか注射苦手だったっけ?」
「いや。生々しいのが苦手なだけ。注射はわりと平気なほう」
……そうだよね。腕からだよね。
いくら幼なじみでも、首からはちょっと抵抗あるよね。
距離が近いから目を閉じてたのかと思った。