赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「さ、どうぞ」
「お邪魔しまーす」
「お、お邪魔します……」
高鳴る胸を抑えながら足を踏み入れた。
6畳の和室。
自分の部屋も同じ6畳だけど、ベッドがないからより広く感じる。
単身で引っ越して来たから、必要な分だけの荷物しか置かれてないんだろうな。
「飲み物持ってくるから座って待ってて」
「「はーい」」
中央にたたずむ、年季が入ったちゃぶ台の近くに腰を下ろした。
端っこには、綺麗に畳まれた布団。その隣には本棚が置かれている。
先週の一眼レフと絶景の写真集、絵画の本。
親子揃ってアーティスティック。これぞ吸血鬼って感じの本棚だ。
「そんなに潤の部屋が気になりますか」
「そりゃあ10年ぶりだもん!」
「確かに。和室も味があっていいな」
「だよね。落ち着くよね」
窓からふわっと暖かい風が入ってきた。
勉強する時、夜風が当たって気持ち良さそう。
休憩中は月や星を眺めたり、写真を撮ったり。
夜になったら、このちゃぶ台がある場所で布団敷いて寝てるのかなぁ。